僕は学生寮みたいなところに居る。
打ちっぱなしのコンクリートにロフトのベッド。
誰かと相部屋だ。確か校長の息子とかそんな感じだった。
僕は抱えていた作業が一区切りついたので、多忙な天太にその作業を引き継いでもらい、テレビが置いてある休憩室(寮の共同スペースみたいなところ)で休んでいた。
するとそこに、褐色の肌の乙女(フィリピン?タイ人?)と中国人男性。と、日本人の中年男性の三人がやってきた。
様子を探ると、彼女は有名なゴルフプレイヤー(あのスポーツがゴルフと言うのなら)らしく、中国人はその付き人。日本人は通訳だった。
僕は持ち前のド英語で、通訳の力も借りながら彼女達とあれこれ世間話をした。テレビで流れた彼女のショットを誉めに褒めた。
グローバルに和気藹々とやっていると、夏の晴天に忍び寄る暗雲のように天太がやってきてこう言った。
「やっぱ君に任せた。」
うん、そうだと思ったよ。
様々な不確定要素がありながらも、多忙な人に仕事を引き継いでもらうこと事態が問題だし、あまつさえ褐色の肌の乙女やその他とグローバルに和気あいあいとしている場合ではなかったのだ。
問題はもっとドメスティックなもののなかにある。
というわけで、僕は再び作業にとりかかるべく部屋に戻ってみたところ、部屋はずいぶん散らかっていて、というか畳張りの和室になっていて、相部屋の人も居なくて、なんだか頭が混乱してきた。
PCの電源はついたままだ。
「あれ、僕はなにをしにここにきたんだっけ?」
すると、回りの部屋から人がバタバタ出てきて、
「早く出ないと全校集会間に合わないよ!」
と学生たちが急いでいる。僕は思う。
そう生き急ぐな。大丈夫、全校集会の校長先生の挨拶で良い話を聞いたためしがない。
時には体調が悪い人を無理矢理炎天下の中に野ざらした挙げ句、貧血で卒倒させ、無骨な体育教師に木陰へと引きずられ、全生徒の冷ややかな視線と微笑みでゆっくりと頭を冷やされることとなる。
あれは青春という尊き時間を、大人たちが貪るために企てた最も愚かな罪と言っても過言ではない。
話がそれた。
とにかく僕には何かやらなきゃいけないことがあるけど、全校集会には出なきゃ怒られる。慌てた僕は何故か部屋の押し入れ(最上段)にあるヴァイオリンを取り出そうとする。
ヴァイオリンの上にチェロが乗っていて非常に取り出しにくい。というか取り出せない。いやその前に楽器の上に楽器を乗せてはいけない。
しかもよりによって小さいものの上に大きな物を乗せるんじゃない!
どうやらチェロは校長の息子のものらしい。
あれ?そもそも校長の息子だなんて僕の人生の登場人物には存在しないぞ?
おかしな雰囲気に、これは趣味の悪い夢だということにようやく気づく。
けど、夢はなかなか覚めてはくれない。
こんな所に長居している暇があったら、ジャガイモの皮剥きでもしていた方がよほどマシだ。
こうなったら強引に覚ますしかないと思い、叫ぶ。
うぉぉぉーー!!
自分の叫び声で目を覚ませば、別の場所に居る。
ここはショッキングピンクや、ヴァイオレット、ライトグリーンと言った、蛍光ペンのインクをぶちまけたかのようにカラフルなタイルで彩られた悪趣味なキッチンだ。
まずい、この場所には以前来たことがある。とても嫌な夢の中で。
ここにいてはいけない。早く夢から覚めないと。僕は叫ぶ。
うわぁあぁぁああー!
自分の叫び声で目を覚ませば、真っ暗な場所にいて、ドアと思しき影の隙間から光が差し込んでいる。
これは非常に不味い。ここは以前、人殺しを突き落として閉じ込めた場所だ。無論夢の中で。
ここにいてはいけない。僕は叫ぶ。
きえぇええぇぇ!!!
自分の声にならない叫び声で目が覚める。見慣れた天井、寝心地の悪いベッド。間違いない、僕の部屋だ。あぶなかった。
携帯の電源が切れていたのて、充電器を差し、溜まっていたメッセージを受信する。
そのなかにこんなメッセージがある。
「やっぱ君に任せた。」天太
いやぁああぁぁーーー!!!
あ、オチです。
なが!
返信削除ながッ!笑
返信削除小説家にもなれるね◎